「俺、いつか……彩葉と二人で絵本を作りたい」
「えっ」
予想外の言葉に、私は息を呑む。
「俺が文章を書いて、彩葉が絵を描く。そういう作品を一緒に作りたいんだ」
「……本気?」
私の声が、驚きと喜びで震えた。
「もちろん、本気だよ」
律さんの瞳は、今までにないくらい真剣だった。
「俺、ずっと文章を書きたかったけど、自信がなくて。でも、彩葉と出会ってやっと書きたいものが見つかった。あなたと一緒なら、きっと良いものが作れると思うんだ」
私の胸が熱くなった。
「それ、すごく素敵! いつか、絶対に実現させようね」
律さんが私の左手を握り、そっと薬指を撫でた。
「もしかしたら、その頃には……俺たち一緒に住んでるかもしれないね」
「えっ」
私は目を見開く。
「俺の家に、いつか彩葉の作業部屋を作りたいんだ。朝起きたら一緒にコーヒーを飲んで、午後は並んで作業して……」
その言葉に、私の顔が一気に熱くなる。
「もう、律さんったら気が早いよ」
「彩葉、顔真っ赤……可愛い」
律さんが、私の頬に優しく口づける。その温もりに、胸が満たされた。
「二人で一緒に作品を作る話、約束だよ」
「はい」
私たちは、しっかりと小指を絡めた。この小さな繋がりが、未来への確かな約束になった。



