月明かりの下で、あなたに恋をした


「これからも、ずっと隣にいてくれる?」
「もちろん、ずっと一緒です」

私が迷わず答えると、葛城さん……律さんが、安心したように微笑む。

「仕事のパートナーとして、そして……俺の恋人として」
「はい」

私は力強く頷いた。

しばらく手を繋いだまま、私たちは未来への期待を胸に見つめ合った。

「おやすみ、彩葉」
「おやすみなさい、律さん」

お互い、名前で呼び合う。ただそれだけで、胸が熱く満たされた。

私は、改札に向かって歩き始める。

今までなら、必ず振り返って彼と手を振り合っていたけれど。

もう、あのもどかしい「お別れ」じゃない。私たちは、恋人として「また会える」のだ。

だから私は、背中に彼の視線を感じながらも振り返らずに歩いた。

ただ、前だけを見て。未来へと向かって。



帰りの電車の中で、私はスマホを取り出した。真帆にメールを打つ。

【真帆へ

出版、決まったよ!
それと……私から告白した。
彼も、同じ気持ちだった。
無事、付き合うことになりました!

彩葉】

すぐに返信が来た。

【彩葉へ

おめでとう!!
すごいじゃん!
それと、良かったね。 本当に良かった。
明日、詳しく話聞かせてね。

真帆】


私は、思わず笑みがこぼれた。

電車の窓に映る自分は、笑っている。幸せそうに、顔をほころばせている。

視線を上にやると、夜空に月が輝いていた。

『月は、いつも変わらずそこにある』

ふと、橘マリの言葉を思い出した。

4年間、諦めていた夢。そして、新しく見つけた恋。全てが動き始めている。

「ありがとう」

橘マリさんへ。律さんへ。そして、諦めなかった自分へ。

運命の出会いから、4ヶ月。私の人生は、大きく変わった。