月明かりの下で、あなたに恋をした


2月。『星降る森のおくりもの』がついに完成した。私と葛城さんは、いつものカフェで最終ページを確認していた。

「完璧です」

葛城さんが静かに告げた。

「本当に、素晴らしい作品になりました」

私は胸がいっぱいになった。3ヶ月間、二人三脚で作り上げてきた作品。

「ありがとうございました、葛城さん」
「こちらこそ」

葛城さんが微笑む。

「これから、プレゼン資料を作ります。3月上旬の会議で、全力でプレゼンしますね」

私は頷いた。作品が完成して、達成感があるのに……心のどこかが寂しかった。

毎週土曜日に、葛城さんと会う口実がなくなってしまう。

「柊さん?」

葛城さんが心配そうに覗き込む。

「大丈夫ですか? 顔色が良くないですが」
「あ、えっと……大丈夫です」

私は慌てて笑顔を作った。葛城さんが顎に手を当て、考えこむ。