【彩葉、おはよう!
昨日のメール見て、嬉しくて叫んじゃった!
やっと素直になったんだね。
でもさ、その人も同じ気持ちじゃない?
クリスマスに会って手を繋ぐって、
普通の友達じゃやらないよ。
ちゃんと向き合いなよ?
応援してる!
真帆】
思わず笑ってしまった。やっぱり、真帆にはバレてたんだ。
これからどうしよう。この気持ちを、葛城さんに伝えるべきなのか……それとも、このまま秘密にしておくべきなのか。
今は仕事のパートナーとして、一緒に作品を作っている。もし恋心を伝えたら、この関係が壊れてしまうかもしれない。
そう思うと怖いけど、葛城さんももしかしたら……。
私は窓の外を見つめる。冬の朝空に、細い月が残っていた。
『月は、いつも変わらずそこにある』
橘マリさんの言葉を思い出す。葛城さんも同じ月を見ているだろうか。
『窓から月が見えたら……俺のことを思い出してくれますか』
昨夜、彼に言われたことが頭の中を過ぎった。
「……っ」
言葉が、喉の奥でつかえる。
「好き」たった二文字が、どうしても出てこない。
葛城さんの目を見ていると、彼の情熱に溺れそうになる自分がいる。
だけど、話すのは今じゃない。絵本の企画が通ってから。
自分にそう言い聞かせて、私は月から視線を逸らした。
運命の出会いから、もうすぐ2ヶ月。私の中で、恋が確かに育っている。
まだ伝えられないけれど、この想いをいつか……彼に伝えたい。



