「今夜、窓から月が見えたら……俺のことを思い出してくれますか」
心臓が大きく跳ねた。それは、どういう意味だろう?
「……分かりました」
答えると、葛城さんが微笑む。
「メリークリスマス、柊さん」
「メリークリスマス、葛城さん」
私たちは、また見つめ合った。葛城さんの目が、柔らかい。
この人と、もっと一緒にいたい。この関係を、次のステップに進めたい。
そう思いながら、私は駅の改札へ向かって歩き始めた。
◇
帰りの電車の中で、私は窓の外を見つめていた。
今日、葛城さんと手を重ねた。あの確かな温もりが、まだ手のひらに残っている。
私はスマホを取り出し、真帆にメールする。
【真帆へ
クリスマスイブの今日、あの人と会ったよ!
手を繋いだ。夢みたい。
私はあの人のことが好きだけど……
彼は、どう思っているんだろう?】
送信して、翌朝。スマホを見ると、真帆からのメッセージが届いていた。



