「ネオンが半端なく煌びやかでね、一つずつのホテルがバカみたいに大きいんだ。
ホテルの端から端まで行くのに、タクシーが必要なほどなんだよ」

ありえない規模に思わず口許が緩む。

「冗談なんかじゃないんだから。
特に、メインストリートのことなんだけどさ。
何処のホテルも一階はほとんどカジノでね、こう。
ルーレットやら、スロットやらがたくさんたくさん並んでるんだよね」

懐かしむように、ジャックの瞳が細くなる。

「どこのホテルも観光客やら従業員やらでとてつもなく賑やかでね。
バニーガールが、こう、ドリンクを持ってやってくるんだ。
それを飲みながら、気が済むまでスロットをまわしてみたりしてね。
もちろん、一晩中だよ。
大当たりしたら、これがまた、ホテルの中に高級ブランド店が山のように入っていてね。自分の好きなブランド品、絶対あると思うよ。
そうやって、客はベガスで稼いだお金をベガスで使って帰るんだ」

一息に喋って、冷めかけたコーヒーで喉を潤す。
瞳が、宝石のようにキラキラと輝いている。

きっと。
ジャックにとっても、素敵な街なのに違いなかった。