湯気の立つシチューをゆっくりと口許に運ぶ。
じゃがいもがほくほくしていて美味しいわー。

嬉しそうに食べている私を見て、キョウも満足そうだ。
その、整った顔に喜びが溢れている。

「ね、さっき何のテレビを見ていたの?」

だから、私がそう聞いたのも自然な流れ。
仲の良い家族は、よくするよね?食事時に、テレビの話。
キョウは変わらぬ笑顔で、こう言った。

「ん?クリスマス特集。
凄いね、日本って。
クリスマスには恋人たちがプレゼントを贈りあった後、街で食事をして、その後ホテルに泊まるんだろう?
予約でいっぱいっていってたから、あれ、間違えなく全国民だな。
日本人の発情期ってクリスマスだったんだ☆
俺たちもイッパイイイコトしようね、ユリア」

ぜ……全力で否定及び拒否させてもらって、よろしいでしょうか、魔王様?!

全体的にクリスマスの解釈間違ってますけど?
ねぇ、私の話、聞いてます?

思いっきり首を横に振って否定しているのに

「ユリアの照れ屋は直らないねー。でも、そこが可愛いんだけど」

と、ご満悦ですら、ある。



ああ、テレビの話なんて聞かなきゃよかった。
折角さっきまで幸せの頂点にいた、気がしていたのに。


誰だ、そのテレビ番組の企画発案者!


今すぐ私のところに謝りに来ぉーい!!