「え〜どうしよ?今、うちダイエット中なんだよね」
はい?
細いのに何を言うとんねん。
スタイル抜群な癖して、
『あぁこの子は体型維持するの努力してるんだ、えらいなぁ』と思われたいのか、
はたまた、
『細いんだし、別にダイエットする必要なくね?』と言われたいのか、
どちらにせよダイエット中アピールはよろしくない。
もし仮に『へ〜ダイエット中なんだ?じゃあ、仕方ないね』と返してしまえば、
私って太っているんだと間違った解釈を起こして、
俺の評価は地に落ちることになるだろう。
『今日だけ良くね?』や『アイス一個じゃあ太らないよ』はありきたりすぎるから、
「いや、体重なんぼよ?」と俺は率直な疑問を問いかけてしまっている。
四月の陽光が少しばかり暑いせいなのか、
俺の質問が野暮だったのか、
おそらく訊くまでもなく後者だろうが、
それ普通訊く?っていう渋い顔を、
こちらに向けている。
どうやら、
この状況はマズイとバカでも判断できる状況だったから、
俺は続けて「細いのに、それ以上痩せたら軽すぎて宙に浮いちゃうよ」と弁明してみせる。
すると、
渋い顔を浮かべていた花恋の表情は、
ホクホク顔へと次第に変わっていく。
分かりやすいのにも程がある。
花恋の機嫌を損ねないように、
あらゆる褒め言葉を品出しのように並べてみせると、
さっきまで乗り気ではなかった花恋の口は、
すっかりとアイスの口になっていた。
「そこまで言うなら食べに行こうかな。さっきのお礼もしたいしさ」
別にしつこく誘ったわけではないが、
行く気になったのなら別にこちらとして問題はない。
花恋の人柄を熟視していたら、
好き避けと同じ、
好意がないふりをして、
内面から漏れ出した思いを、
恥ずかしさと共に正当化しているようにも見えた。
それは、
俺の誘いを断らない=時間や労力を無駄だと感じていないと、
見て取れるから一安心できる。



