ズタボロとなったお腹を押さえ込み、
赤く腫れた左頬と疲弊した心が疼く中、
俺はスタスタと行き先の分からない目的地《ゴール》を目指している。
用済みになるのって、
こんなにも寂しいもんなんだな。
分かってはいたけれど、
目的が達成されると、
こうも関係性がなくなり、
簡単にも途切れてしまうものなのかと、
喪失感でいっぱいだった。
「りょうちん、どこ行くの?」
「え?」
「私も行く」
後ろから俺の着ているジャージを引っ張り、
花恋が俺の後をついてくる。
こんな俺でも必要としてくれるのか?
二次会に参加せず、
二人でひっそりと抜け出す、
あの感覚によく似ている。
胸の高鳴りがどんどん大きくなっていき、
目の前にいる花恋がより一層可愛く見えた時には、
俺はいつのまにか花恋に恋をしてしまっていた。
好きになってしまうと、
どうしても意識し過ぎてしまい、上手く話ができなくなるのは、
どうも克服できそうにない。
ふざけたりなんかはもちろん、
よく見られたいがために発言一つ一つに、
細心の注意を払わなければならず、
変に緊張して、
今回も不完全燃焼で終わってしまいそう。
沈黙が嫌になるほど、
会話が続かず、
どうしても間がもたない俺は、
典型的に恋愛で失敗するタイプなんだと自覚した。
花恋からの何気ない「何か喋ってよ」が、
また余計に俺を苦しめ、
悪い流れを加速させていく。
いい天気だね、
は何か違うし、ご趣味は?、
もちょっと堅苦しいし、
俺のことどう思う?、
は無理がありそう。
とりあえず、
何か共通する話題があればいいのだが、
暗中模索しながらたどり着いた先は、
「アイスでも食べ行かん?」だった。
俺に言わしてみれば、
女の子という生き物は、
基本的に甘いモノが大好物というイメージがあり、
誰だって『え!食べたーい!!』と反応してくれるだろう。
最新のモノには目が無く、
オシャレなカフェでランチやデザート食べてそうだから、
尚更、それに当てはまる。
それに、
まだ花恋と一緒に居られるという大義名分も出来て、
あわよくばデートにまでこぎつける、まさに一石二鳥だ。
何もかもが上手くいくと安心しきっていると、
花恋は口を開いた。



