ゆっくりとだっちんの許へ歩き進めていたら、
「おい!ちょ、待てよ!」と、
俺の肩を掴んで呼び止め、
迷うことなく胸ぐらを掴むハッキンの姿が、
目に飛び込んできた。
いやいやいやいや……次から次へと空気が読めない連中に、
『今じゃないだろ!』と叫びたくなる。
それに木村拓哉以外でも、
そのフレーズ言うやつ居るのかよって、
腑に落ちちゃってる自分がいてもどかしい。
皺くちゃになったジャージは吊り上がり、
皆の視線が俺の出臍《でべそ》に集まっている。
これがいわゆる、
ヘソだしギャルということなのか。
とりあえず、
この状況をどう打開したらよいか、
すぐには思い浮かびそうにはないから、
お臍を手で覆い隠しておこう。
近くには花恋と麻那がいて、
巻き込む訳にはいかないし、
それに、
だっちんとヤギちゃんはいい雰囲気だから、
邪魔するのは申し訳ないから、
ここは俺が犠牲になるしかなさそうだな。
「何?近くに女の子もいるんだし、危ないから場所移さない?」
カッコよく言ってみたものの、
本音は目の前でボコボコにされるのを見られたくないからであって、
誰も居ないところで土下座でもして、
勘弁してもらおうという考えだ。
「チッ、いいだろ。来い!」
舌打ちが嫌な感じ、
俺とハッキンが場所を移そうと動きだすと、
花恋が俺の腕をしっかりと掴み、
行かせようとはしない。
「行かなくてもよくない?てか、そもそもあんた、誰よ?急に喧嘩ふっかけて来て、きしょいんだけど!」
助けようとしてくれているのは嬉しいんだけど、
これ以上、
ハッキンを刺激しないでくれ。
ここは俺の安い土下座で何とかしてみせるから。
そう思っていたのにハッキンは、
俺の手を掴んでいた花恋の手を勢いよく振り払った。
「うっさいんじゃ、ボケェッ!!」



