スタスタと歩き進めていたら、
だっちんとヤギちゃんが何やら楽しそうに会話しているのが見えて、
俺は酷く狼狽《ろうばい》した。
最悪のタイミングに訪れてしまったみたいだ。
俺はだっちんから遠く離れようと身体を捻らせるように、
違うルートへと急転させる。
だっちんが好きなヤギちゃんとは、
まだ会わせない方が良さそうだし、
いい感じの雰囲気なんて、
尚更見せない方が良さそうだしね。
「おー!い、りょうちーん!」
「何してるのーー?!こっちおいでよ」
だっちんとヤギちゃんは、
今日は大事な予定があって、
早く帰りたいのにやたらと絡んでくる空気の読めない同期社員のように、
俺を呼び止めてきた。
「あれ、だっちんじゃない?何してんの?早く行こうよ、りょうちん」
「ホントだ!いい感じにフォローよろしくね」
最悪だ。
花恋や麻那にも気づかれてしまった以上、
もう修羅場は避けられそうにない。
「あーー、任して…………」
諦めよう。
どうすることもできず、
修羅場になるであろう立ち合いをさせられるなんて、
考えるだけで気が重たくなる。



