「なんでだよ、今のインだろ?入ってたじゃん」
不満が溜まったハッキンたちは納得いかず、
眉間に皺を寄せ、
苛立っている。
「まぁまぁーよしましょうよ。熱くなるのは分かりますけど、審判のことは絶対なんだし。ね?ここは抑えて」
興奮を抑えようと俺が仲裁するが、
ピリついたハッキンは、
今にでも飛びかかってきそうなぐらい拳を握り締め、
歯を食いしばっている。
「お前、覚えとけよ」
おいおい、
何で俺だけ目をつけらる。
ほうれい線が漢字の『小』のようにくっきり浮かび上がった俺は、
『川』のように湧き出る冷や汗を嫌がった。
ハッキンは捨て台詞を吐くと、
何事もなかったかのように戻っていく。
無論、
俺たちはこの試合に勝ち、
決勝へと駒を進めることはできたのだが、
俺だけは素直に喜ぶことができていない。
これはきっと、
日頃の行いがよくないからなのか。
最近の俺は、
夜な夜な仲間と遊び呆け、
講義には遅刻、
さらには必修単位の講義さえ欠席するなど、
学業に支障をきたしている。
学業以外では、
『最悪の世代』として、
だっちんやマチコ、かっつー、濱ちゃんと一緒になって悪ふざけをする常習犯。
そのせいで、
大学では俺たちのことを知らない者がいないぐらい、
由々しき事態となっている。
かっつーの車に乗って校内を選挙カーみたいに騒ぎ走ってみたり、
皆が勉強などで使う多目的室を貸し切り状態にしてみたり、
先輩を呼び捨てにしてみたりと、
やることすること無双状態に近かった。
これだと、
やっぱり目をつけられても仕方がないか。
俺は決勝の相手を決める試合の時間を、
ハッキンの言った言葉の意味を考える時間に充てることにした。



