「待ちに待った昼食タイム〜。班のみんなで協力して美味しいカレーを作ってくれ!」
太郎ちゃんは今にでも吐き出しそうなぐらい、
青ざめた表情で俺たちにカレー作りの説明をする。
「イェーイ!俺、カレーなら無限に食えんだよね」
それは無理があるだろ。
マチコにとって、
カレーは飲み物であって大好物だとしても。
さすがにおかわり3杯、
それ以上は無理だと勝手に賭けをしてる。
「どうしよう?俺、料理できないよ」
「大丈夫、大丈夫。鍋に食材ぶち込んで、ルー入れるだけだから」
俺の不安を吹き飛ばすには無理がある、
ヤギちゃんは超アバウトにカレー作りは簡単だと言ってみせた。
なら、
ジャガイモと人参の皮を剥いてみろよ。
簡単なようで、
簡単じゃないだろ。
削りすぎて凸凹してるし、
食べるところも少なくなっちゃてる。
これじゃあ、
見た目が残念なカレーの出来上がりだ。
「美味しかったら大丈夫でしょ」
「いや、見栄えも大事っしょ」
「分かってないなー。見栄えは二の次、味さえ良ければ大丈夫だから。それにその方が良い思い出にもなるわけだし!」
「いや、悪い思い出として残るわ」
「はぁ?なんないし!」
自然体で、
思ったことをすぐに言えて、
お互いが遠慮せず、
会話のテンポが合っている、
まさに熟年夫婦のよう。
呆れたイッチーが娘のように仲裁に入り、
型抜きを使って具材を切り抜いていく。
「はいはい、ふたり共分かったから!
まだ、炒める前だから大丈夫だって。こうやって、切り抜いたら見栄えも良くなるでしょ。
ほら、ふたりも早く手伝って」
イッチーの言った通り、
見栄えの悪かったジャガイモと人参たちが、
みるみると可愛く様変わりしていくのだけど、
俺とヤギちゃんは決して笑らわない。
唯一の救いは、
ふたりきりじゃないことであって、
先に笑った方が負けなのだ。
B班全員が力を合わせたおかげで、
それはそれは美味しい、
カレーの出来上がり。
「簡単だと思ってたんだけどなあ。
作ってみると大変なんだね。
上手く剥けなかった時は、どうしよう?って焦ってたんだ。
センスがないみたいで、バカにされるのが嫌だったから。
味さえよければ大丈夫って言ってごめんね、美味しく頂くなら、見栄えも良くないとダメだもんね?
さっきはごめんね、りょうちん」
今日はやけに素直だな、
先に謝ったほうが大人っぽくて、
好印象に映るじゃないか。
それに俺たちは反省会でもしてるのか、
湿っぽい空気を嫌い、
いつものように俺はふざけだした。
気づいてないでしょ、
俺が下に着ているシャツ。
『うるせえ』と書かれたTシャツをそっと見せるようにして戯笑すると、
ヤギちゃんのパンチが飛んで来た、
俺の肩に。


