俺は「またいつか持って帰るよ」と逃げの一択で決着をつけた。
「ぜってえーなッ!」
「え?」
「りょうちんの絶対おもろい気するから見してなッ!約束」
約束という言葉に弱い俺は、
簡単に「うん」とだけ返事を返してしまい、
状況整理ができた時には頭を抱え込んでしまっていた。
俺は絶対に約束を破ったりしないし、できない約束を端から交わさない。
だから、
自分が守れそうにない約束を交わしてしまったことを酷く悔やんだ。
「どした?りょうちん?」
「いや、何でもない。なんか楽しいことしたくなってきた」
とりあえず一旦忘れて、
気分を上げたい的な感じで、
行き着いた先はボーリング場。
やっぱり球投げてリセットしたいし、
ストレス発散が今の俺には一番だよね。
でもね、
投げても投げても一つだけピンが残るモヤモヤが俺を苦しめているんだ。
それに比べて、
何でヤンキーはボーリングが上手いんだよ。
プロ並みのカーブに魅了されつつ、
ストライクを重ねていくマチコの陽キャぶりに翻弄されていた。
ストレートに真っ直ぐ投げ込む俺が恥ずかしくなっちゃうぐらい、
真っ直ぐな球だけど綺麗なフォームで投げ込むだっちんは、
センスの塊だ。
俺なんて覚束無いし、
センスの欠片もないど素人みたいで赤っ恥。
スコアが惨めすぎて、
差がみるみる広がっていく俺は、
ふざけて誤魔化すので必死だった。
後ろ向きで股の間を通す投げ方や変に小刻みに刻むステップ、
マチコたちを笑かすためにやっているだけなのに、
ミラクルショット連発でストライクを量産。
なんだか心の中では複雑な心境、
もう訳わかんないからドヤ顔でスカしている。
これは作戦であって、
狙い通りなんだと言い聞かせて、
実力を発揮する俺に、
もう怖いものなんてない。
ふざけた方がスコアが伸びることを知った俺はもはや無敵であって、
最終的には隣のレーンにまで球を投げ込むから、
マチコ達は笑い死んでいた。


