「どこだぁ?どこに隠してんだぁ」
男友達が初めて家に来たらすることランキング上位、
恒例の避妊具探しで俺は場を盛り上げている。
「いくら探してもないっちゃ、そんなもの」
「え、何でよ?もしかして、つけない派?」
「いや、んなわけ!実家に忘れて来たわ」
お目当ての物がない牴牾しさを表面に押し出しながら、
つまらなさそうな態度で俺は床へと寝転んだ。
横目から映り込むだっちんの卒アルを片手にジュースを飲むマチコの姿、
それを見て次のお目当てが卒アルへと心変わりする俺は、
異常なぐらい切り替えが早い。
出来もしない跳ね起き技《ネックススプリング》で起きあがろうと無茶して、
背中を強打したことはここだけの話。
生後八ヶ月の赤ちゃんみたいに、
ハイハイでしか動けない日がまた来るなんて、
おそらく考えもしなかったけど、
なんとか決死の思いでマチコの許へと辿り着いた。
背中に抱えた爆弾のせいか、
たぶん三十は老けた、
俺のしかめた顔も曲がった腰もお爺ちゃんみたい。
マチコは俺の皺くちゃな顔を見て、
口に含んだジュースを吹き出してしまうもんだから、
俺の顔は車から水はね被害にあったぐらい濡れちゃってる。
それ見てまた笑っちゃうマチコは何事もなかったかのように「これ、だっちん」と卒アルの写真を俺に見せた。


