「やっぱりょうちん、おもろいな」
「え?!マ……マチコォ〜〜〜〜。今、りょうちんって呼んでくれたよね?ね?呼んでくれたよね?」
「だったら何だよ、お前の名前はりょうちんやろ?変な奴だな」
いや、そこじゃなくて、なんだろ……
人代名詞で呼ばれていたから、
急に名前で呼ばれると人って嬉しくなるもんだろ。
友達なら名前で呼び合うのが普通だとして、
りょうちんというあだ名がある俺に、
お前と呼び続けるマチコとは、
まだ少しだけ壁があると感じていた。
「そうだよ、りょうちんだよ!俺の名前はりょうちんなんだよ!マチコ、やっぱり好きだわーー」
「おいおい、こいつ頭、大丈夫か?!」
マチコは引き気味に俺が狂ったのでないかと心配する、
というより気色悪かったのかもしれない。
困り果てたマチコに、
だっちんが助け舟を出す。
「いや、こっちが聞きたい。急にバグっちゃってんじゃん。とりま、早く行こおっちゃ!」
「だなッ、ほっとこ!」
マチコは考えるのをやめ、
俺のことなんて人事のように笑っていた。
「おーーい、待ってくれよ!友達だろぉ?」
「なんかっちゃ、あたりメェだろッ」
だっちん達は気持ち悪そうに逃げ去って行く。
気持ち悪がると言ったら大袈裟になるけれど、
体育会系っぽいノリで楽しんでいる感じかな。
俺は水中でクロールでもしているのかみたいに、
ふざけながら二人を追いかける。
「はは、こいつヤバッ!おもろい通り越してアホじゃん」
慣れてもいないのにバカな事やってウケ狙いに挑む勇気を讃えてほしい。
陽キャとして生きていこうと、
生半可な気持ちでいる俺に嫌気と疲れを覚えた。
というよりアホってなんだよ、
俺はアホじゃなくて歴としたバカなんだから、
アホと言うのは辞めてくれ。
そんな犬派か猫派かみたいな俺のどうでもいい拘りはさておいて、
俺たちはアパートで一人暮らしをしているだっちんのお家に今お邪魔している。


