「このあと、俺んちにマチコも来るけど、りょうちんも来るっしょ?」
仲良くなるのも、あと一息。
こんな絶好の機会を逃さまいと、
手を挙げ威勢よく返事をする俺は、
自尊心のかけらもなくて、
むしろ、
虚栄心のかたまりにすぎない。
二人に引っ張られるようにして校舎を出る俺は、
とくべつ陽キャでも陰キャでもなく、
その間に挟まれたつまらない人間であって、
高校では味わえなかった自己顕示欲を噛み締めていた。
うちの大学に問題児がやってきたと、
通る道がみるみる開いていくマチコ側に対して、
うちの大学に王子様がやってきたと、通る道が混雑していくだっちん側。
サークル勧誘でチラシを持った先輩たちで賑わう中、
とりわけ何もない俺は清々しく、
二人の後ろを肩で風を切りながら歩いていく。
もちろん一人だったらできないよ。
強気で歩く俺はスター状態になっていると勘違いしてた。


