曇天模様の空の下、俺は未だに生きている。

 梅雨の終わりが近づいている。

 空はまだ灰色に覆われているが、雲の隙間から差し込む光が少しずつ強さを増している。

「まだ来なくていいのに」

 誰に向けたわけでもない言葉が、耳の奥で静かに響く。

 頭上にぽつり、ぽつりと滴が落ちる。

 雨が減れば、彩芽に会えなくなってしまう。

 夏の空気が嫌いなわけではない。でも、もう少しだけ待ってほしいと思ってしまう。

 焦燥感という風に背中を押され、俺は屋上を後にした。

 肌に触れるむわっとした風が頬を撫でる。

 乾いた風は、自分の内側と切り離されたように感じる。

 願っても、雨は降らず、乾いた風だけが頬を通り過ぎていく。

 今年は例年よりも雨が少ない。

 気象情報でも、そう言われていた。

 それでも、降水確率50%の文字を見ると、つい期待してしまう。

 今日こそは雨が降るのではないか——その期待が裏切られるたびに、思いは募っていく。

 溜め息が、自分の部屋に静かに積もっていく。

「今日も駄目だったか」

 自分がただ時間を浪費しているだけだということは、わかっている。

 俺は彩芽の幻影を追っているだけなのかもしれない。

 それでも、俺は追い続けてしまう。