「そろそろ帰らないと……」

そう言って立ち上がった瞬間、
後ろから腕を掴まれた。

「……雪菜」

「ん……?」

「もう帰るの?」

「ま、もうって……もう7時だよ?」

「早ぇよ。
 全然足りねぇ」

低い声で拗ねたみたいに言って、
手首をぎゅっと離さない。

「送っていくから……少しだけ、玄関来い」

「う、うん……」