オンラインゲームのフレンドは直属の上司だった

その日の午前中は電話対応が多くて、あっという間に時間が過ぎて、疲れて休憩スペースで一人でボーッと窓の外を眺めていた。

そしたら、向こうから羽山さんが歩いて来た。

二人になるのは、なんだか緊張するな…。

「お疲れ様です」

私が言うと、

「お疲れ」

羽山さんは軽く頷いて答えた。

羽山さんはスマホで何か文章を打っていた。

私はその隙にそこを離れてオフィスに戻ろうとした時、

スマホに通知が来た。

ゲーム専用のアプリからの通知だった。

開いてみたら、メッセージが来ている。

ハヤテさんからだった。

『今日、また続き一緒にやろう』

ハヤテさんから誘ってもらえて凄い嬉しかった。

画面を見ながら歩いてると…

「また誰かとぶつかるぞ」

羽山さんに後ろから声をかけられた。

羽山さんが私の横を通り過ぎる瞬間、チラッと私の顔を見て、少し微笑んだ。

そ、その表情…

刺さる…!

普段あんなに無表情なのに!

反則だ…

だんだんと羽山さんと近づく距離に、ハラハラドキドキの連続だった。

そして、私はその日も急いで帰った。

急いでご飯とお風呂を済ませて、またゲームにログインする。

フレンドリストを見ると、ハヤテさんはまだログインしてなかった。

ハヤテさんが来るまで素材集めでもしようと、フィールドをウロウロしていた。

でも…

なかなか来ない…

だんだん眠くなってきた。

その時、チャットがきた。

『遅くなってごめん!今何してる?』

ハヤテさんがやっと来たんだけど…

眠い…

『素材集めしてたんですけど、眠くなってしまったので、そろそろ落ちようと思います。ごめんなさい』

そう言ってゲームからログアウトしようと思ったら

『じゃあ、最後に少しだけ、来てほしい場所がある』

そう言われて最後に少しだけなら…と…ついて行った。

そこは、海辺の町だった。

ここはどこなんだろう…。

ハヤテさんに導かれるままフィールドを進んで行くと…。

そこには、満天の星空が広がっていて、流れ星がたくさん見えた。

あまりの綺麗さにびっくりした。

こんなところがあるんだ…

グラフィックがすごい綺麗…!

多分1人だったら気が付かずにスルーしていた…

『ハヤテさん、ありがとうございます!』

ゲームの中だけど、こんな素敵な場所があるなんて…

すごいな…

私が感動してると

『ハヤテでいいよ』

え、呼び捨て…?

なんか緊張する…!

でも、仲良くしようと思ってくれてるなら、それに応えたい。

『俺も”あまる”って呼ぶから』

ゲームのキャラクターだから表情はわからないけど、なんとなく穏やかそうな人だと思った。

ゲームから落ちようとすると

『あまる、おやすみ』

ハヤテが言った。

やっぱ呼び捨てにされるとすごい恥ずかしい…

『ハヤテ、おやすみ!』

とりあえず早く落ちて早く寝ようとしたのに…

ドキドキして眠れない…

一体何なんだこれ…

これ、毎日あの人と会うって、ちょっと

ゲームどころじゃなくなるんですけど!!

ストーリーを進めたいと思いつつ…

ハヤテさんとのコミュニケーションに戸惑う私だった…