オンラインゲームのフレンドは直属の上司だった

最近まともにやってなかったエタクエ。

バレンタインイベントが始まった。

私はバレンタインのコスチュームが欲しくて、必要なアイテムを集めるために、久々に必死にゲームをやっていた。

羽山さんは…

とうとうゲーム機を持ってきた。

土曜日に私の家に行くと言って、ドアを開けた時、びっくりした。

二人でゲーム機を持って、二人でゲームイベントをやるという…なんともシュールな状況に。

「私達、変ですね…」

「一緒にいたいんだから仕方ないだろ」

羽山さんは開き直っている。

最近は私達の関係を隠すようなそぶりも見せなくなって、会社から出たら、二人で並んで歩いてる。

これはもうバレてるはず…

「羽山さん…私たちの事バレちゃったらどうしましょう…」

羽山さんは表情を何も変えず、ハヤテはひたすら敵を無双している。

「その時考えればいいだろ」

そうか…

その時考えるしかないか…

そのまま二人でアイテム収集して、落ち着いたらご飯食べたり、私の好きなアニメを見て、のんびりする休日。

幸せだった。

◇ ◇ ◇

──バレンタイン当日

羽山さんにチョコをあげるつもりでいた。

でも…

あげる隙がない!!

これは仕事が終わるまで待とうかな…

と思ってた矢先…

フロアの片隅で見てしまった。

羽山さんと葉月さんがいるのを…

どうしよう…

あんな可愛い子に渡されたら、彼女がいたって心が動くよ…

何を言ってるかはわからなかったけど、彼女がチョコを出した瞬間、いてもたってもいられなくて、その場を離れてしまった。

仕事終わりに渡そうと思ったのに…

そんな気持ちになれなくなって、定時に黙って帰ろうとしたら…

「おい」

バレてしまった。

「なんかあったんだろ」

あなたの事です…!!

「いえ、ちょっと調子が悪くなったんです…」

その後、非常階段に連れていかれた。

「具合悪いのか?」

本気で心配されると…流石にそれは申し訳なくて、

「いえ…実は…見てしまって。羽山さんが葉月さんにチョコを渡されているのを…」

羽山さんはため息をついた。

「そうだと思った」

「嘘ついてごめんなさい」

情けない…

その時、羽山さんにいきなり引き寄せられて、キスをされた。

「そんなに自信ないなら、教えようか」

羽山さんの怪しげな笑みに、嫌な予感しかしなかった。

「羽山さん…それは…見つかったらアウトだと思います」

「冗談だよ」

その余裕の笑みはなんなんだ。

あんなに無表情だったのに。

別人だ。

私は渡そうと思ったチョコを渡した。

「これ、お礼です!」

「え、義理チョコ?」

またいじわるをしてくる…

「からかわないでください!」

いい加減腹が立って帰ろうとしたら、捕まってしまい、そのままお持ち帰りされてしまい…

食べられたのはチョコではなく、私の戸惑いや不安だった。

「ちゃんとわかった?」

「はい…」

わかったのは…

羽山さんの気持ちというより、私がいかに羽山さんの事を想ってるかって事で…

でも、羽山さんからもそれがなんとなく伝わって、嬉しかった。

「羽山さん…チョコ食べてくださいね…すごい並んで買ったんで…」

羽山さんはチョコを私の方へ持ってきた。

「じゃあ一緒に食べよう」

羽山さんは一つ食べた。

「あ、美味いこれ」

そして私にも食べさせてくれた。

「あ!本当だ!美味しい!」

並んで買ってよかった…!

止まらなくて、半分くらい食べてしまい、

手がチョコまみれに…

「すみません…美味しくてつい…」

その時、羽山さんが突然私の指についたチョコを舐めた。

「何してるんですか!?」

羽山さんの行動にびっくりしすぎて心臓が止まるかと思った。

私の指を咥えながら、

「こっちの方が美味しい」

と、またいたずらな視線で私をからかう。

最近、なんか私への態度がSになってきたような…

そんな気がしたバレンタイン…