オンラインゲームのフレンドは直属の上司だった

◆ ◆ ◆

何日かした後、仕事が終わってビルから出たら、沙織が待ち伏せしていた。

「お疲れ様」

なんとなくまた来ると思っていた。

「俺はもう話す事何もないから」

通り過ぎようとした。

「あの時はごめん」

腕を掴まれた。

「あの時、あの人に凄い迫られてて…哲治との事もバレてて…。だから…」

その時、視線を感じた。

振り返ったら、瑠美が立っていた。

明らかに困惑している。

もう覚悟を決めた。

瑠美をこの場に連れてきた。

「俺はもう過去は捨てた。この子と一緒になろうとしてる」

ごめん…なんか利用してる感じに…

あとでちゃんと謝らないと。

俺の顔を見て瑠美はあたふたしていた。

沙織は瑠美を見た後

「そうか…そういう子を選んだんだね」

沙織は背を向けた。

「その子なら…あんな事しないね」

そのまま沙織は歩いて行った。

突然振り返って、

「私、哲治の事、本気で好きだったよ。それだけ言いたかった。」

そしてまた、歩いて消えていった。

これで完全に終わった。

やっと、少し、前を向ける気がする。

「羽山さん…私たちのこと、なんで言っちゃったんですか?」

慌ててる瑠美の顔…

「ごめん…でも、例え話が広がっても、責任取るから」

隠そうとしたけど…、いつか他の奴もわかるだろう。

それでも、離したくない。

「お詫びに…これから美味い飯食べさせてやるから」

瑠美は困惑してたけど、突然喜びだした。

単純な奴…。

その単純さが、好きなんだ。

◇ ◇ ◇

羽山さんが…元カノさんに言ってしまった。

私達のことを。

しかも、この子と一緒になろうとしてる、って。

一緒になるって、

つまり…

「私達、結婚するんですか!?」

私達はイタリアンレストランにいた。

羽山さんの"お詫び"として。

「声が大きい…」

羽山さんが呆れている。

運良く個室に入れたからセーフなはず…。

「この年齢で付き合ってるんだから…考えてるよ」

羽山さんの恥ずかしそうな顔を見て、また悶え苦しむ。

「とりあえず食べて、早く帰ろう」

え…せっかく会えたのに…

私は反抗してノロノロ食べていた。

食べ終わって、私が駅の方に向かおうとしたら、羽山さんに引っ張られた。

「帰るのはこっち」

そっちは羽山さんの家の方向。

嬉しくて嬉しくて。

腕を組んだら離されて、流石に丸わかりな行動に反省した。

羽山さんの家に着いたら、いっぱい羽山さんに甘やかされて、満足した。

そういえば、最近まともにゲームしてない…

でも、もう私達はこっちで二人でいる生活に、完全に浸ってしまっていた。

◇ ◇ ◇

次の出社日、休憩スペースで鈴木さんと会った。

「あ、天川さん。羽山とどう?最近」

また言ってる…

「だからそういう関係じゃないんですってば!」

その後、鈴木さんにビルの屋上に連れて行かれた。

「何でここに連れてきたんですか…?」

鈴木さんがニヤッとした。

「ねぇ、俺との事考えてくれた?」

………確か前、付き合おうとか言ってきてたな。

完全に忘れていた。

「私、彼氏いるんで、ごめんなさい」

「羽山でしょ?」

もうバレてるんだよねこれ…

「顔に出てるよ、天川さん」

口で言わなくても、反応だけでバレてしまったの!?

「えーと…」

これは誤魔化しても意味ないのかな…

鈴木さんはふと振り返った。

「あ、来た」

え?

振り返ったら、羽山さんが立っていた。

なぜここに!?

羽山さんは不機嫌丸出しだった。

「ほらやっぱり付き合ってるんじゃん」

私達は何も言ってない…

羽山さんは何も言わない。

言わないとバレてしまう!!

「天川をからかうな」

鈴木さんはニヤニヤしてる。

「羽山をからかってるんだよ」

鈴木さんはそのまま屋上の出口の方に行った。

「お幸せに〜」

そのまま行ってしまった。

私と羽山さんを置き去りのまま。

「バレてたんですね…」

「そうみたいだな」

私達はそれ以外何も言わず、ただ空を眺めていた。