オンラインゲームのフレンドは直属の上司だった

次の出社日、羽山さんに会える嬉しさと、ハヤテとの二人暮らしの恥ずかしさで、心がムズムズしていた。

そういう時に限って

朝からエレベーターで一緒になってしまう!

他の社員もたくさん居たからお互い何も言わなかった。

「羽山どこまでゲーム進んでるの?俺全然わからないんだけど?」

鈴木さんの声が聞こえた。

「自分で攻略サイト見ればいいだろ…」

羽山さんの声が聞こえる。

羽山さんの声…

ゲームでは聞こえない。

ここでしか堪能できない…。

私は幸せだった。

「今度奢るから、今日教えて色々!!」

鈴木さんの必死なお願いが聞こえる。

「……わかった」

鈴木さん…!!

私と…羽山さん…ハヤテとの時間を奪わないで…!

私の一日のご褒美タイムなのに…!!

出社して半泣きになってエレベーターから降りようとしたら、羽山さんに声をかけられた。

休憩スペースで少しだけ話すことに。

2人きりになって、また感情が溢れてくる。

言葉が出てこない。

「鈴木との話聞いてた…?」

「はい」

なんだろう、この、リアルとゲームがごちゃごちゃの状況。

「とりあえずああ言ったけど…"あまる"優先だから、気にしないで」

羽山さんは少し恥ずかしそうにそう言って、行ってしまった。

羽山さんと話せた事が嬉しくて、鈴木さんの事がどうでも良くなった。

◇ ◇ ◇

エタクエ同居一日目

羽山さんが残業っぽかったから、のんびりとログインしてみた。

まず広がるのは一緒に住んでいる家の中。

ここで…私とハヤテは暮らすのか…。

2人で…。

2人で…?

あまるとハヤテは女と男で、

羽山さんと私は男と女で、

住むのはゲーム内だけど…

なんか色々意識しだすとしんどい!

とりあえず先にワールドに出て毎日のルーティンをこなす事にした。

武器防具を作って、売って、お金を稼ぐ事もできるようになったから、段々と充実していくエタクエライフ。

待ってる間はひたすらお金と経験値を稼ぐ…

しばらくしたら

『ただいま』

ハヤテからチャットがきた。

きたあああー!!!

『おかえり!』

でも…今日はハヤテはスズキさんとゲーム…

今日は一緒に住める喜びを噛み締めていよう。

私を優先してくれようとしてくれる気持ちを聞けただけで嬉しい。

そしたら

『今から家来れる?』

とハヤテからチャットが。

ちょうど暇になったし、ハヤテに会いたかったから速攻で家に帰った。

家の中に入ったら、ハヤテが立っていた。

『お疲れ様!』

って言ったら

ハヤテが抱きしめてきた。

『今日はあまるとずっと居たいから断った』


む…胸が苦しい…!!


そのまま動けないまま、2人はただ2人の空間に居た──