オンラインゲームのフレンドは直属の上司だった

私と羽山さんは、仕事中は上司と部下として、仕事以外の事は話さず、業務に集中していた。

でも、家に帰ってゲームにログインすると、一緒にイベントで遊んだり、ストーリーを進めて、ワイワイしていた。

羽山さん…ハヤテだと、凄い喋る。

こんなに色々感じたり、思いを伝える事ができるのか…。

なんか嬉しいな。

ゲームを同じ目線で楽しめる人が近くにいるって。

ハヤテと冒険する事、羽山さんとゲームをする事が、私の生活の中で欠かせなくなっていた。

そろそろゲームから落ちようとした時、

また突然転移魔法で現れた"スズキ"

これは…鈴木さんだよね。

『疲れ〜』

心なしか、ハヤテが身構えている。

『あ、また"あまる"ちゃん!羽山といつも一緒なの?俺も一緒に遊びたい』

鈴木さん…オンラインゲームで名前言っちゃダメだよ…

『"あまる"は俺の彼女』

え?

『え、羽山彼女いるの!?』

びっくりしすぎて何も言えなかった。

『そういう事だから』

ハヤテはスズキにそう告げて、私達は別の場所に移動した。

『ごめん!』

その後ハヤテが謝ってきた。

『ああ言わないとずっとついてくると思って』

確かに…グイグイくるから、はっきり言わないとダメなんだけど

彼女って

『嫌だったらごめん』

でも──

嫌じゃなかった。

『大丈夫です。私は一緒にまたゲームができればいいので』

『これからログイン状態隠しておく』

ハヤテの言葉に安心した。

これでまた二人でストーリー進められる。

でも、もうかなり遅いから今日はストーリーを少しだけ進めて寝る事にした。

また寝不足のスパイラルに陥ったらヤバい…。

『もう寝ます』

その時またハヤテがまたあまるに近づいてきて…

もうあまるにくっついている…。

『今日もありがとう。おやすみ、あまる』

ハヤテのこの行動をどう受け止めればいいの?

画面いっぱいに映ったその情景を見ていられなくて、すぐにログアウトして、眠りにつこうとベットに潜った後

心臓が煩くて全然寝付けない…!

『"あまる"は俺の彼女』

この言葉が胸に響いていた。

それはあくまで鈴木さんを追い払うための言葉だけど…

特別にしてもらえたみたいで、嬉しかった。

◇ ◇ ◇

次の出勤日、オフィスに入って、まず羽山さんのデスクを見たら、居なかった。

この時間にはいつももういるのに。

自分のデスクについてパソコンで羽山さんの予定を見てみた。

──出張と書いてあった。

え??知らなかった…

いや…そういえばこの前仕事の時言ってたかも。

出張って事は、ゲームは持って行ってないよね…。

出張は三日になっている。

三日か…

三日も会えないのか…

ほぼ毎日会ってたのに。

会社でもゲームの中でも会えない。

寂しいと思いつつ、元は一人でやろうとしてたわけで、ただ一人で黙々とやればいいと思った。

けど…

家に帰って、ログインして、ストーリー以外で何かしようと思っても、何もやる気が起きない。


──ハヤテと会いたい。

早く会いたい。

そんな気持ちが込み上げてきた。

一緒にいた毎日で少しずつ私の中で育っていたものに気がついた。

私はハヤテが戻ってくるまで、ゲームにログインはしないでおく事にした。