狂愛されて、壊れそう。

 「わぁ…!屋台がいっぱいだ!」

 お祭りに着くと、たくさんの屋台が並んでいてわたしのテンションが上がる。

 「おい、はしゃぎ過ぎて迷子になるなよ」
 「え〜!ならないよ!」
 「「いや、絶対になる」」

 ふたりは声を揃えて言うと、わたしの手を掴む。

 「迷子になると大変だからね。手繋ぐよ」
 「はーい」

 むむっ。わたしったらそんなに子供じゃないのに…。

 でも、迷子なったら大変だから言う通りにしよう…。

 「それで、どこから行く?」
 「わたし、かき氷にチョコバナナにわたあめが食べたい!」
 「全部食いもんじゃねえーか」
 「まぁ、桜子らしいよね」
 「えへへっ」

 それから、わたしたちはたくさんの屋台を見て回った。

 美味しい食べ物を食べることが出来て、満足だ。

 「あ!わたし、あのぬいぐるみ欲しい!」

 わたしは、たまたま見つけた射的屋の景品であるうさぎのぬいぐるみを指差す。

 「なら、おれが取ってやるよ」
 「取れるの!?」

 悠雅くんは、屋台のおじさんにお金を渡すと銃を構える。

 「うっわ。なんか、様になってるのがムカつく。ヤクザの息子だから?」
 「うるせぇよ。集中するから話しかけんな」

 悠雅くんは、集中すると銃の引き金を引く。

 すると、弾が真っ直ぐにぬいぐるみを目掛けて進んで行き、ぬいぐるみに当たり後ろに倒れた。

 「坊主凄いなぁ!ほら、景品だよ」
 「どーも。ほら、やるよ」

 おじさんがぬいぐるみを悠雅くんに渡してくれて、それをわたしに手渡してくれた。

 「ありがとう!大切にするね!」

 わたしは、嬉しいくてぬいぐるみをギュッと抱きしめる。

 「そういえば、輝流がいないぞ」
 「あれ?さっきまでいたのに…。迷子かな?」

 輝流くんがいつの間にかいなくなってしまっていた。

 周りを見渡すがどこにもいない。

 「桜子じゃあるまいし、迷子になんてならないから」

 すると、後ろか声が聞こえて振り返ると輝流くんがいた。

 「輝流くんいた!どこに行ってたの?」
 「これ、買ってた」

 そう言って、見せてきたのはおもちゃの指輪だった。

 「アンタにあげる」
 「ありがとう!」

 輝流くんはわたしの手をとると薬指に指輪をはめてくれた。

 キラキラしていて、とっても綺麗…!

 「お前…。キザなヤツだな。ムカつく」
 「それはお互い様でしょ?」

 ふたりはなにか言い合っているけど、指輪に夢中で聞こえない。