狂愛されて、壊れそう。

 わたしたちが話していると、教室に輝流くんがやって来た。

 「輝流くんだ!おはよう!」
 「おはよう。昨日のことで話があるんだけど、着いてきてよ」
 「ここで、話せばいいだろ」
 「ここだと、静かに話せないから」

 わたしは、周りを見渡すとクラスの女の子たちが「きゃー!モデルの輝流くんだ!」とか「サイン貰えないかな!?」って、凄く騒いでいた。

 これじゃ、確かにお話出来ないかも…。

 それにしても、輝流くんってこんなに人気なんだ…。

 わたしたちは、輝流くんに言われるがまま着いて行くと静かな図書室に着いた。

 中に入って、誰もいない机に座る。

 「昨日だけど、キモイおっさんは見つからなかった。どうやら逃げたみたい」
 「そうなんだ…。怖いね」

 また、あのおじさんが現れたりしたら怖いなぁ…。

 輝流くんが襲われたらどうしよう…。

 「それなら、大丈夫だ。もうおれたちの前に現れることはない」
 「どうして?」
 「ふーん。なるほどね、アンタがなんかしたんだ」
 「…。とにかく、心配するな。桜子」
 「?うん、分かった!」

 悠雅くんがそう言うならきっと大丈夫だよね?

 よく分からないけど。

 輝流くんは分かってるみたいだけど…。

 「そうだ!クッキー、輝流くんにもあげるね!」
 「はぁ?俺だけじゃないのかよ!」
 「悠雅くんには、助けて貰ったお礼で、輝流くんには友達記念だよ!」

 わたしは、スカートのポケットからラッピングしたクッキーを輝流くんに渡す。

 「特別に貰ってあげる」
 「うん!」
 「はぁ…。ほら、もうチャイムが鳴るから教室に戻るぞ」
 「分かった!」

 確かに、時計を見るともうすぐチャイムが鳴る時間だった。

 わたしたちは、それぞれの教室に帰って行った。