狂愛されて、壊れそう。

 わたしは、学校で悠雅くん以外の友達がいなくなってしまった。

 少し悲しいけど、悠雅くんが学校でも家でも遊んでくれるようになっていつの間にか悲しくはなくなっていた。

 悠雅くんは、わたしが「今日は歩いて帰りたい!」って言ったら、嫌そうな顔をしながらも「しょうがねぇな」と一緒に歩いて帰ってくれていた。

 「あっ!見て見て!四つ葉のクローバーだよ!」

 わたしは、道端にあった四つ葉のクローバーを採って悠雅くんに見せる。

 「あっそ。興味ねぇよ」
 「えっー!珍しいのに…。はい、悠雅くんにあげる!」
 「いらない」
 「なんで!?」
 「だって、草だろ」

 確かに、草かもしれないけど四つ葉のクローバーは幸運を運んでくれる物なのに…。

 わたしは、受け取ってくれないことにショックをしていると、「お前生意気なんだよ!!」って怒鳴り声が聞こえて、体がビクッとしてしまった。

 なんだろう…?

 わたしたちは、声がする公園の方を見ると、複数の男の子がひとりの男の子を囲んでいた。

 「少しカッコイイからって、調子に乗るなよ!」
 「そうだぞ!モデルなんかやって、生意気なんだよ!」
 「もう、学校来るなよ!」

 もしかして、これっていじめ!?

 「悠雅くん!あの男の子いじめらてるよ!?助けないと!」

 いじめなんて、許せない!

 「ほっとけよ。あんなのひとりでどうにか出来るだろ。それよりも、おれん家で遊ぶ予定だろ。早く行くぞ」

 悠雅くんは、イジワルなことを言ってわたしの手を掴んで引きずるように歩く。

 でも、どうしても気になったわたしは、悠雅くんの手を振りほどいて、いじめっ子たちに駆け寄る。

 だって「困っている人がいたら助けなさい」ってママに言われてるんだもん。

 「おいっ!待てよ!」

 後ろで、悠雅くんが止めようとしているけど、無視をする。

 「ちょっと!君たち、いじめなんてカッコ悪いんだよ!」

 わたし、いじめられている男の子を庇うように間に体を滑らせる。

 「なんだよ!お前!」
 「邪魔すんなよ!」
 「いじめなんて、止めなよ!」
 「お前には関係ないだろ!ちょっと可愛いからって調子に乗るな!」
 「ほら、君も言われっぱなしで良いの!?言い返さないと!」

 わたしは、庇っている男の子の方を振り返って言うが、男の子の顔をみて、びっくりする。

 とっても、綺麗な顔…。

 まるで、女の子みたい!

 「わぁ〜!アナタ、凄く綺麗!男の子なのに女の子みたい!」
 「は?おれは、男だから」
 「声まで、綺麗!どうして、どうして?」
 「ちょっと、アンタ、顔近いよ!」

 わたしは、グイグイと綺麗な男の子に近づく。

 悠雅くんも綺麗だけど、違う感じで綺麗…!

 「わたしね、桜子!アナタは?」
 「ちょっと、今自己紹介してる場合?後ろのヤツら、めっちゃ怒ってるけど」
 「えっ?」

 わたしは、振り向いていじめっ子たちがいたことを思い出す。

 「お前ら!おれを無視とはいい度胸だな!」
 「やっちゃえ!健くん!」

 そう言うと、男の子のひとりがわたしに殴りかかって来た。

 な、殴られちゃう…!!

 わたしは、怖くてギュッと目を閉じる。

 でも、痛みが来なくて目を開ける。

 「オレの女に手出してんじゃねぇよ」
 「悠雅くん…!」

 悠雅くんが男の子を手を掴んで、わたしのことを助けてくれたらしい。

 「なっ!離せよ!」
 「健くん!コイツ、ヤクザの息子の梅宮悠雅だ!」
 「まずいよ!逃げようぜ!」
 「くっ…!覚えてろよ!」

 いじめっ子たちは、悠雅くんを見るなり慌てて逃げてしまった。

 「ふんっ。負け犬の遠吠えだな…。怪我はないか?」
 「う、うん。ありがとう!アナタも大丈夫?」
 「別に。アンタたちに、助けて貰わなくても平気だったし。」
 「あぁ?お礼も言えないのかよ」
 「えっと…」

 なんだか、ふたりの間がバチバチしてるなぁ…。

 どうしたら良いのかな?

 「大体、助けて欲しいなんて言ってないし」
 「女に庇われてたくせに、強がんなよ」
 「はぁ?強かってないし」

 どうして、喧嘩するの!?

 「あ、あの!アナタ、お名前は?さっきも言ったけど、わたしは桜子!こっちの男の子が悠雅くん!」
 「柊輝流…」
 「お名前も綺麗!そうだ、このあと悠雅くんのお家で遊ぶんだ!輝流くんも一緒に遊ぼう!」
 「はぁ?桜子ふざけんな!ふたりで遊ぶ約束だろ!」
 「え〜!良いでしょ?」
 「嫌だ」
 「おれは、別に遊びたくないから。帰る」

 輝流くんは、そう言うとサッサと歩いて行ってしまった。

 せっかく、新しい友達が出来ると思ったのに…。