スマホを取りだし、お母さんの番号を探す。
結婚は秒読みかしらって、喜んでいたのに……ごめんね。
すぐ繋がった通話に緊張する。
黙っておくわけにはいかないし、私が行方不明になったりしたら、きっと心配するだろうし。
「すず? どうしたの」
いつもと変わらない声を聞いて、枯れない涙が溢れてきた。
「まだ仕事の時間でしょ」
「……お母さん」
スマホの向こうから、お母さんの穏やかな声とニュース番組の音がわずかに聞こえてくる。
いつものリビングでニュースを見ながらお茶を飲んでいたのだろう。
「具合でも悪いの?」
鼻をすすると「なにかあったの?」と気遣うように尋ねられた。
ニュースの音が消え、お母さんが私に向き合い真剣な顔をするのが見えたようだった。
「あのね……少し、仕事、お休みもらってね……今、横浜にいないの」
「横浜にいないって……佐伯さんと旅行って感じじゃないわよね?」
もしかしたら、お母さんはなにかを察してくれたのかもしれない。
「あのね……隼人さんとは、別れようかと思って」
結婚は秒読みかしらって、喜んでいたのに……ごめんね。
すぐ繋がった通話に緊張する。
黙っておくわけにはいかないし、私が行方不明になったりしたら、きっと心配するだろうし。
「すず? どうしたの」
いつもと変わらない声を聞いて、枯れない涙が溢れてきた。
「まだ仕事の時間でしょ」
「……お母さん」
スマホの向こうから、お母さんの穏やかな声とニュース番組の音がわずかに聞こえてくる。
いつものリビングでニュースを見ながらお茶を飲んでいたのだろう。
「具合でも悪いの?」
鼻をすすると「なにかあったの?」と気遣うように尋ねられた。
ニュースの音が消え、お母さんが私に向き合い真剣な顔をするのが見えたようだった。
「あのね……少し、仕事、お休みもらってね……今、横浜にいないの」
「横浜にいないって……佐伯さんと旅行って感じじゃないわよね?」
もしかしたら、お母さんはなにかを察してくれたのかもしれない。
「あのね……隼人さんとは、別れようかと思って」


