もうひとつのバースデイ

「そっか⋯⋯今日の予定がなくなったなら、どこかで夕飯でもどう?」
「いいですね」
 私たちは、初めて一緒に夕飯を食べることになった。
 職場の人たちとは不仲というわけではないが、私は普段から、昼休みも基本的には一人、仕事のあとで誰かと食事や飲みに行くこともない。スマホもないので、当然メッセージなどのやり取りもしない。

 レストランに着くと、
「そうそう、これ読み終わりました。ありがとうございます」
 私は、借りていた本を返した。
「どういたしまして。じゃあ、来週は次の巻を持ってくるよ。あと、もしよかったら、音楽プレイヤーにも何か入れようか?」
「いいんですか?じゃあ、お願いします」
 そう言って、ポータブル音楽プレイヤーを渡した。
 CDを借りるより、プレイヤーに入れてもらうほうが助かる。
「ところで、プライベートなことだし、答えたくなかったら構わないんだけど⋯⋯彼に待たされてたの?」