もうひとつのバースデイ

 それでもまだ来ないので、ヘッドホンをして音楽を聴き、ぼんやりと窓の外を眺めている。
 いつも、一体どういうつもりで、こうして延々と人を待たせているのだろう。
 時間にルーズなことに関して、前に喧嘩になったこともあるのだが、
「お前がスマホを持ってないのが悪い」
 それが彼の言い分。
 私は、一度きちんと話し合いをしたいと言い、最初は冷静に話し合ったものの、結局は喧嘩になってしまった。
 喧嘩になるのが面倒で、最近はもう何も言わないが、太田はどんどんルーズになり、私のモヤモヤも大きくなる一方。
 2時間半待っても来ないので、私はもう帰ることにした。
 店を出た時、
「桐生さん」
 聞きなれた声に振り向くと、高崎先生だった。
「先生!遅くまでお疲れ様です」
「お疲れ様。まだ家に帰ってなかったんだね。待ち合わせだった?」
「ええ。でも、2時間半待っても来ないので、帰ることにしたんです」