もうひとつのバースデイ

 太田は、明らかに私よりも多くガツガツ飲み食いし、会計の時には、
「3000円でいいよ」
 当たり前のように言うが、伝票を見たところ、6200円だった。
 実際は私に多く負担させておきながら、何故、あたかも多く払ってやったような言い方を平然とできるのか。
 こういうケチ臭いことは考えたくないものの、最近の私は、太田のあらゆる言動に対してモヤモヤしてばかりいる。
 もう、付き合いも7年目なので、全くときめきがないのは致し方ない。
 恋のときめきは、せいぜい2、3年だというから。
 ときめきが消えても、安らぎがあれば不満はないのだろうけれど⋯⋯。
「もう行くわ。おやすみなさい」
 これ以上は一緒に居たくないと思い、私は足早に立ち去る。
「じゃ、また来週な」
 そんな声にも、振り返らなかった。
 いつも通り、エレベーターで地下鉄のりばへと向かう。この駅からだと、ラッシュ時でも座って帰宅できる。