もうひとつのバースデイ

 彼氏が約束をすっぽかしてパチンコに行き、詫びの一言もないときたら、本当は、今ここで別れを告げてもいいのかもしれない。
「私、太田に言っておきたいことがあって」
「何?」
「来週の待ち合わせなんだけど、1分でも遅刻したら、別れる」
「は?それを言うために電話してきたのかよ」
「ええ。だから、ちゃんとスケジュール確認しようと思って。来週土曜の12時半で間違いないわよね?」
「そうだよ」
「じゃあ、12時半を1分でも過ぎたら、別れる。本気よ」
「わかったよ⋯⋯あっ!すげー大当たりだ!うははは!」
 私は、黙って電話を切った。
 電話越しに、あまりにうるさい音が聞こえていただけに、ひとりの部屋はやけに静かだ。
 自分に自信もなければ、ひとりになる勇気もない私は、何かきっかけがなければ、別れを告げることができない⋯⋯情けないけれど。
 次の約束の日は、25歳の誕生日。
 けじめの時だ。