もうひとつのバースデイ

「ところで、その彼のどこに惹かれたの?」
 そう尋ねられ、昔のことを一生懸命思い出そうとしたのだが⋯⋯思い出せないのだ。何故、どこを好きになったのか。
「それが、思い出せないんです。あまりに昔のことだから⋯⋯。覚えているのは、初めて彼氏ができて嬉しくて、浮かれていたということだけですね」
「なるほど。それでも、今も変わらず、彼のことが好き?」
「それは⋯⋯」
 もう、それすらわからないのだ。
「もし、誰が何を言おうと、彼のことが好きで仕方ないなら、愛を貫く人生もアリなのかもしれない。でも、ひとつ言ってもいいかな?」
「はい」
「その彼は、桐生さんの貴重な時間を捧げるだけの相手?今までだけでなく、これからもずっと」
 今までずっと、目をそらしてきた現実を突きつけるような問いかけだ。
 思わず、言葉をなくしてしまう。
「ごめん!意地悪を言ったつもりではなくて⋯⋯気を悪くしたよね?」