花は夜に咲く

鋭い金属音のあと、男の身体がぐらりと揺れた。


「なに、が……」


男の言葉が途切れる。


目の前に、黒い影が滑り込む。

その動きはあまりにも早くて、何が起きているのか、頭がついていかなかった。


次の瞬間、鈍い衝突音。


男が地面に崩れ落ちる。


私は壁にもたれかかって、息を止めていた。


静寂。


そして、靴音。