掴まれた腕を振りほどこうとしても、力が入らなかった。 「離して……っ」 かすれた声が夜に吸い込まれる。 男の手が、さらに強く私の身体を引き寄せた。 背中が壁にぶつかる。 冷たさが肌に染みる。 鼓動がうるさい。