花は夜に咲く

再び、足音が聞こえた。


今度は、はっきりと。


カツン、カツンと一定のリズムで近づいてくる。


振り返る勇気が出なかった。


心臓の音が、自分の足音と混ざって耳の奥で鳴る。


「誰...?」


声を出したつもりだったが、掠れてほとんど音にならなかった。