見慣れた道。


いつも通るコンビニの看板。


それなのに、今日はどこか違って見えた。


風が頬を撫でる。


その冷たさが、妙に生々しい。


ふと背中に、誰かの視線を感じた。


振り返っても、そこには夕陽と影だけ。


人の気配はない。


それでも、胸の奥がざわついたまま静まらなかった。


「……気のせい、だよね」


声に出すと、風に掻き消されるように消えていった。


その瞬間、遠くでカラスが鳴いた。


その声が、なぜか不吉に聞こえた。