私に母を見放させ、娘の誕生日に他の男とホテルにいた消せない罪悪感と事実で離婚に持ちこもうとしたのだろう。

「そう、拗ねるな。凛音も、もっとちゃんとした母親の方が良いだろう」
「私はお父様になんかについて行かないよ。あの人、3年も浮気して愛人宅に入り浸っているんだよ」

 私は意を決して父の浮気を祖父にバラしたが、予想外に一笑された。

「なんで、笑うの? 男と女の浮気は違うって事?」
「違うのは身分だ。清十郎が外に女が何人いようと構わん」

 私は初めて祖父と話が通じないと思った。
 身分制度など当の昔になくなっているなどと彼に主張しても無駄だ。
 誰もが彼に頭を下げて、媚びている。