みんな最初は私の外見や持っているものに近づいてくるのに、時間が経つと離れていく。自分が大好きで自意識過剰な程に自信に溢れて見えていた柏原凛音は、実は虚構の存在だったと気が付くのだろう。
 
 柏原凛音の空っぽのグラスを埋めてくれるのはHIROだった。
 
「何もない、空っぽだぁ⋯⋯」
 私はその場で食事を中断し無気力になった体をテーブルに預けて突っ伏した。


♢♢♢
 
 HIROの死から1年、私は学校に行けなくなった。

 私は高校3年生になっていた。
 予定通りエスカレーターで行ける大学には進学できる。
 莫大な寄付金も学校に支払っているし問題ない。