完璧御曹司の執愛から逃げ、推しのアイドルと結ばれる方法

 中でもピアノは孤独を紛らわせてくれるので、毎日のように弾いていた。
 そのせいか、ある程度の技術があり音楽の授業では先生にも伴奏を頼まれる時がある。

「美湖ちゃんって本当に貧乏なんだね。本物のプロの演奏聞いたことないんでしょ⋯⋯プロに比べれば私の演奏なんて⋯⋯」
 私は美湖ちゃんに自分のピアノを褒めてくれたお礼を言いたかった。
 私は外見以外で人に褒められるのは初めてだ。
 それなのに、褒められたことも何故か恥ずかしくて悪態をついてしまった。

(どうしよう、美湖ちゃんに嫌われたかも⋯⋯)