「もう、それは終わったことだ。子供のお前が口を出すような事ではない」

 私と父の間に母が意を決したように口を挟んできた。
「清十郎さん、離婚してください。3年も家族を放ったらかして女にのぼせていた男など要りません」
 3年も家を留守にしてたのに悪びれもしないのを見て、私の母のシンデレラの魔法も解けたようだ。
 父は母の決死の決意の言葉を本気にしていないのか馬鹿にしたように笑っている。

 兄の博樹が突然壁を力強く拳で殴った。

 怒りを抑えるような兄の表情に一瞬息を呑んだ。