私は初めて会った時に、初対面の私を助けてくれたトップアイドルのHIROを思い出していた。今より大人びていて自信に溢れていた。絶望的な私の状況を自分なら解決できると笑い飛ばした。あの時の彼は私にとって間違いなくヒーローだった。
 私の真剣な物言いが伝わったのか、HIROは私からそっと離れた。

「凛音、お前には負けられねーよ。HIRO、大好き、今すぐ抱いてって言って来るくらいお前を惚れさせてやるから!」
 HIROはそう言い放つなりスタジオを出て行った。

 HIROは触発されたのか、歌やダンスにより本腰を入れるようになった。