完璧御曹司の執愛から逃げ、推しのアイドルと結ばれる方法

 予想外に半年もしない間に私は一躍人気者になった。
「可愛過ぎる天然お嬢様がロックに参戦」「お嬢様のピアノレッスンがロックのキーボードに!?」
 私は連日雑誌や新聞で取り上げられた。
 そのどれも私の見た目と柏原ブランドで誤魔化した紛い物のような感じで落ち込んだ。

 周囲が称賛している間にも私の心は落ち込んでいった。
 いつ中身が空っぽなことに気が付かれ叩かれるのかと不安になった。
 一心不乱にスタジオで演奏している時だった。

 扉のノックと共に現れたのは美湖ちゃんのお父様だった。私の演奏に拍手をしながら現れた彼に美湖ちゃんの面影を見た。