そのレベルだと祖父がますます私を無能なペットのように看做すだろう。

 私は彼女の聖書のようなノートにかじりついた。
 「難し過ぎる⋯⋯」
 私の呟きに反応するように周囲が小声で私をバカにし出した。

「柏原さんって本当はかなりバカだよね。あんな優秀で完璧な婚約者と話が合わないと思うんだけどな。知能指数が20違うと話って成り立たないらしいよ。頭が良い側が悪い方にずっと合わせなきゃいけないんだって」
 私はその陰口に希望を見出した。

(玲さんは誰もが認める天才! 私とは確実に知能指数が20以上は違う! ナイス婚約破棄の説得材料!)