完璧御曹司の執愛から逃げ、推しのアイドルと結ばれる方法

 人が恋する瞬間にも似たような感覚。私は生まれる性別を間違えたのかもしれない。かなり不自然なアプローチをしたのに、受け入れてくれた彼女の度量に感謝した。

 私と南野美湖はそれから驚くようなスピードで仲良くなった。
 
 中休みには既にタメ口に会話をする仲になっていた。
 自分が心の扉を開けば、相手も開いてくれるのだと私は学んだ。

「凛音ちゃんって、『JKロック』に加入するの? 今朝、パパに言われてびっくりしたよ」
「私は柏原凛音だよ。アイドル活動なんか俗なマネする訳ないでしょ」

 自分で言いながら寂しい気持ちになった。
 奈美子さんとセッションした時に言いようもない気持ちよさを感じた。