完璧御曹司の執愛から逃げ、推しのアイドルと結ばれる方法

 肩までのくるくるの髪を靡かせながら、驚きを隠せない顔で彼女が近づいてくる。

「あ、あのね。私、同じクラスの柏原凛音。私たち友達にならない?」
 人は衝動性を持つ生き物らしい。

 「友達になろう」みたいな言葉はドラマや漫画だけで存在するものだと信じていた。

 美湖ちゃんと友達になりたいという私の渇望は、恐ろしい程に稚拙な言葉を紡がせた。

「南野美湖です。実は柏原さんとは1年の時から同じクラスだよ。柏原さんが私の事を知っていてくれて嬉しい」

 綿菓子みたいな彼女の髪がふわっと舞い上がる。
 微笑みながら私に語りかける彼女を欲しいと思った。