優しく微笑んでいるように見えて、いつも冷たく怒っているような彼に恐怖していたのか彼の前では虚勢を張っていた。

「あ、あれ?」
 何だか意識が朦朧としてくる。
 私はそれ程に衰弱していたのかもしれない。


 私を見下ろす玲さんの目が冷たさを隠す事をやめたかのように睨みつけている。

「柏原凛音⋯⋯お前は本当に人として終わってるな。顔だけは好みだったから躾るだけだと思ったのに⋯⋯」

 私を非難する玲さんの声は本物か幻聴かも分からない。
 悪態ばかりつき傲慢で家族にも友達からも距離を置かれる自分が詰んでいる事なんて自分自身が一番分かっていた。