完璧御曹司の執愛から逃げ、推しのアイドルと結ばれる方法

 車がタワーマンションの地下駐車場に入って行く。

 玲さんが涙を止めて微笑みを作りながら、私の手をとりエスコートして車から降ろそうとする。
 中世西洋の王子様のような洗練された振る舞い。
 完璧な彼を狂わせたのは自分だという事実に向き合うべきだ。

「玲さん、ここまでで良いよ」
「部屋まで送るよ」
「ここまでで良いって言ったでしょ」

 私がどう振る舞えば、玲さんは私を諦めてくれるだろう。

「じゃあ、明日7時半に迎えに来るから。学校まで送るよ」
「学校には電車で行くから、結構よ!」
「電車?」
 玲さんが心底驚いた顔をする。
 私は賢い彼を出し抜けたような気持ちになり、得意げになった。