完璧御曹司の執愛から逃げ、推しのアイドルと結ばれる方法

「それくらい? 私にとってはそれくらいじゃないよ。着替えとかも覗かれてたんだよ。どうして私の為に怒ってくれないの?」

 会ったばかりの草井奈美子も私の気持ちを分かってくれたのに、身内は誰一人私の側についてくれない。なぜだかは分かっていた。玲さんを完璧な青年として長い間見てきている身内は、未熟な私に彼は勿体無いと感じているのだ。それゆえ、私が玲さんに不満を抱くなど信じられないのだろう。

「どうせ結婚するんだから良いじゃない。でも、玲さんも完璧に見えて、そんな可愛らしい事もするのね」
 母はクスクスと笑っていた。
 盗撮のどこが可愛らしいのだろう。

「私、警察に被害届を出す」