私は彼の車に乗せられて眠ってしまい海に連れてかれた記憶が蘇り、手の甲をつねった。

 「どうしたの? 手の甲なんてつねって」
 「せっかく、迎えに来てくれたのに車の中で眠ってしまっては申し訳ないと思って⋯⋯この車って座席がフカフカでうとうとしてしまうんだよ⋯⋯」
 「そう、別に眠ってくれても良いよ。凛音も疲れているだろうし⋯⋯」
 私は玲さんの言葉に何と返して良いか分からなくて俯いて目を瞑った。


「凛音、変わったね。僕にお礼を言うようになった」
 突然の玲さんの言葉に、私はぱちっと目を見開いた。

「私だって変わるよ。ずっと、我儘娘のままでいられる訳ないでしょ」